日本は温暖湿潤な気候に恵まれた国で、植物の種類がたいへん豊富な地域です。面積こそ狭いものの日本には樹木だけでも1000種を越える種類が見られます。この数はヨーロッパ全体で見られる樹木の種数に匹敵するそうです。ですから、日本はキノコの種類も豊富な地域です。何故なら、キノコは「樹の子」の意です。植物、特に樹木とキノコには切っても切れない深い関係があるのです。キノコがたくさん発生することと樹木の種類の豊富なこととは無関係ではありません。日本は「キノコの国」なのです。
きのこは古代より世界中で食用にされてきました。この日本でも、近年栽培技術の発達とともに安定的に日々の食卓にのぼるようになり、最近では健康の維持・増進に及ぼす役割も次第に明らかにされていることもあって、きのこ類は我が国だけでなく諸外国においてもヘルシー食品としての需要が高まっています。
一般に「きのこ=茸」料理と聞いて何を連想するでしょう。世には様々な料理が溢れていますが、これからの季節はやはり鍋料理。その鍋料理に欠かせないきのこの筆頭として「舞茸」が挙げられるでしょう。そこで今回は「舞茸」特集といたします。
今回お邪魔したのは、黒川郡大和町の「舞ちゃん城(ハウス)」。作られているのは「舞ちゃん舞茸」。そちらで、生産者の「堀籠俊郎」さんに、お話をお伺いしました。
もともと稲作農家であった堀籠さんですが、平成5年の冷害を機にきのこ栽培に転身し、すでに11年目を向かえるそうです。ここでは菌床栽培で生産されています。菌床栽培とは、オガクズと米糠などの栄養源を混ぜた人工の培地で栽培する方法で、安定的に市場に供給できることから近年では栽培法の主流になっているそうです。ただし、栽培のおいての管理は大変なようで、その中でも温度と湿度管理が一番大変で大事なポイントになるそうです。ハウス内には常に一定の湿度を与え続け、温度も常に一定に保ち続けなければならないそうで、なんと温度が2度変わっただけで品質がだめになるとの事。
ここでは、菌を植えてから出荷まで約45日間。ローテーションを組んで年間を通して出荷しています。
顧客は主に「蕎麦屋」でしたが、最近はその品質の良さから様々な形態の料理店からの引き合いも多く、バリエーション豊かに使われることが多くなったとか。
「舞ちゃん舞茸」の特徴はなんと言っても、その歯ざわりと香りの強さにあるでしょう。口に入れると、その「シャッキリ」感に驚き、そして一杯に広がり何時までも続くように感じる独特の香りに満足させられます。また、冷暗所なら1週間は品質を保ち続けるという日持ちの良さも特筆ものです。
「年間を通して美味しさを届けたい」と、その願いを話してくれた堀籠さんの言葉を受けて、一年中楽しみたいと思ってしまう、そんな「舞茸」でした。