プンタレッラという名前の野菜ですが、あまり馴染みの無いことでしょう。プンタレッラは、主にイタリア・ローマ近郊で10月下旬から3月初旬に掛けて収穫される、ローマの人々にはなくてはならない冬野菜です。にょきにょきと生えてきた若芽を食べるので、イタリア語のスプンターレ(生える)からプンタレッラと呼ばれています。また、英語ではアスパラガスの穂先部分が集まったような形をしているのでアスパラガス・チコリと呼ばれています。この野菜の旬は短く、イタリア国内の市場に出回るのも冬場の短い時期だけです。
何故、これが宮城県で栽培?実は、宮城県とイタリア・ローマ県とは伊達政宗の家臣、支倉常長がローマ法王に謁見したという背景をゆかりに、2001年10月に友好姉妹県となっています。くしくも常長がローマに滞在した期間は、プンタレッラの収穫時期とも重なります。日本ではまだあまり知られていないプンタレッラの魅力を、ローマとゆかりのある宮城から皆様にお届けしようと栽培がスタートしたのです。
今回は宮城県南部、丸森にお邪魔し栽培家の「菅野さん」にお話をお伺いしました。今年で栽培を始めてから3年目を迎えるそうですが、此処丸森の気候は本国ローマと余り変わりが無く、本場の味に遜色のないプンタレッラが出来上がってきたそうです。しかしここまでの栽培になるには他の野菜同様、簡単に済まされることでは無かったとの事でした。
8月の初旬に種を蒔き、そこからの手入れが大変なのです。中でも温度管理、保湿対策が欠かせません。また、菊科と同類野の植物なのでとにかく虫が付きやすいとのこと。丹念に管理し、冬の寒さが訪れて茎が太ってきたらやっと収穫となります。これからもっと寒さが厳しくなる季節、丸々と太ったプンタレッラの収穫はまだ始まったばかりです。
調理法は、先の尖った「とう」の部分を主に食べますが、中は空洞でしっかりとした歯ごたえがあります。また、日本の京菜に似た葉の部分もくせがなくて美味しいです。芽を一本ずつ切り離して縦に半分に割ると中が空洞になっていますので、ナイフで細く削ぐような感じで細切りにするのですが、これがけっこう手間のかかる仕事なのです。そして、水にさらしてしばらくすると丸くなります。水分をよく切ってからアンチョビーとニンニク風味のオリーブオイル、ヴィネガーで和えるのが本国では一般的な食べ方です。あるいは、生のままサラダやバーニャ・カウダに、またグリルしてレモンをキュッと絞っていただくなど、シンプルな調理法でそのものを楽しんでいただきたい野菜です。「宮城から新しい食材を発信したい」との願いの一環からスタートしたプンタレッラ栽培。これからまだまだ旬は続きます。ぜひご賞味下さい。