サラダや炒め物等として食する機会の多いアスパラは、原産は地中海東部です。日本に初めて輸入されたのは江戸時代のオランダ船によってでした。その頃は食用ではなく、もっぱら観賞用として広まっていったそうです。何故、鑑賞?その頃に付けられた正式和名はオランダキジカクシ(阿蘭陀雉隠)と言い、成長すると細かく切れた葉に見える枝が、雉が隠れるほどに生い茂ることに由来しています。食用として導入されたのは明治時代。そして本格的な栽培が始まったのは大正時代からで、欧米への輸出用缶詰に使うホワイトアスパラが最初でした。その後国内でも消費されるようになり、昭和40年以降はグリーンアスパラが食用の主流となっています。また、今まではホワイトアスパラというと缶詰にしたものを食するのがほとんどでしたが、最近は生で流通する機会が増え新たな食材の一つとして見直しがされてきています。
では、ホワイトアスパラはどのようにして栽培するのでしょう。また、グリーンアスパラとの違いは。実は二つとも同じ種なのです。2月から3月にかけて種を植え付けます。5月になると今度は畑に移し育てます。そして、此処からが二つの違いなのですが、グリーンアスパラのほうはそのまま日光にあて栽培を続けるのですが、一方のホワイトアスパラは日光を遮断してしまうのです。つまり、強制的に光合成をさせないのです。それによってあの白いアスパラは生まれてくるのでした。
仙台市北部にてご兄弟で農業を営んでいる吉田秀一さん、幹雄さんを訪ねました。(写真は兄、秀一さん)ホワイトアスパラの栽培の決め手は、やはり温度管理だそうです。12月から2月の収穫間際には温度の低いほうが良く、温度上昇にはとにかく気を使われるとのこと。此処仙台では、真冬でも「もう春?」と言って良い位の暖かい日続くことも有りますから、管理はさぞかし大変でしょう。
兄弟で農園を営むことを数年前から計画し、昨年やっと二人の夢が叶い農園オーナーになりました。現在は、仙台市内のホテルやレストランを中心に販売先を広げています。兄弟で営むことのメリットは「常に顔を突き合わせていられる」ことだそうです。様々な問題を速やかに解決出来る。兄弟だからこそ出来るのでしょうね。今後も先ずは仙台市中心に販売を考えて行きたいとのことで、「地元が元気になって欲しい。だから、若い僕達がチャレンジしなくては」、と話してくれた眼が光り輝いていたのがとても印象的でした。現代の農業は後継者不足が叫ばれ社会問題ともなっています。でも、このような若い力が育ってきてることに、まだまだ捨てたものでのないなと、なんとも頼もしい感じを受けました。
尚、吉田ファームのホワイトアスパラの今期出荷は2月末までとなっています。是非とも味わってみてください。