日頃より家庭での食卓や、レストランでの食事の際に目にし、口にすることの多いトマト。その真っ赤な色合いには何とも食欲をそそられるものです。江戸時代に日本に始めて入ってきたとされ、その頃は真っ赤な色が敬遠されもっぱら観賞用として栽培されていました。明治時代に入り、やっと食用として利用されるようになり、日本人の味覚に合わせた品種改良が進み一般的に食するようになって来たのは昭和からなのです。
世界中では約8000種を超える品種があるとされ、この日本でも120種あまりの品種が登録されています。この数は、野菜類の登録品種数の中でもめだって多いのです。
現在、生食用として広く流通しているのはピンク系のトマトでその中でも糖度を上げたフルーツトマトが人気を博しています。今回は、その系統であるトマトを栽培しておられる「デリシャスファーム」へお邪魔致しました。
宮城県北部大崎地区の鹿島台にそのハウスはあります。
「今野文隆」さんに、お話をお伺い致しました。此処での栽培の特色は、何といっても水分の与え方ではないでしょうか。通常のトマト栽培法の3分の一から半分と、与える水を抑えて味を凝縮させています。「水の使用量と味は反比例する」との事でした。栽培の難しさは温度と湿度の管理だそうで、こればかりは機械でのコントロールにまかせっきりとはいかず、勘に頼るところが大きいとの事でした。30年程前から栽培を手がけているそうなのですが、ここ20年はより糖度の増したものが好まれるようになってきたとか。「これも時代の流れなのでしょうかね。」と、お話をされていました。
このファームでは、量よりも徹底した管理のもと品質を第一に作っています。そのため市場にはあまり出回らず、品薄状態が続いています。
しかし、身が締まって歯ごたえ十分で、酸と甘みのバランスがとても良く、味が凝縮しているトマトを一度は味わって欲しいものです。
こちらでは地域の方々を常に大事にと、直販も行っています。JRの鹿島台駅から国道346号線を涌谷方面へ。すぐに、幾つものハウスが立ち並ぶ風景が目に入ってきます。それが目印です。春の陽気な季節を迎えて、ドライブ方々如何でしょうか。