特殊野菜というモノをご存知だろうか。プロの料理人御用達、言わばプロ向け専門の野菜のことである。一般のスーパーなどでは目にする機会は少ない。フレンチやイタリアンレストラン向けの特殊野菜を日本の宮城県で生産している農園がある。それが、今回ご紹介する「おおむらふぁーむ」である。
代表を務める「大村篤男」さんは、もともと実家が農家ということもあり、幼い頃から畑など親の栽培の真似事をして土いじりに親しんで来た。後に自分も農業を生業とすることを決意し、単身アメリカへと修行に旅立つことになる。現地アメリカでは、農業の実践に加え主にマーケティングを学んだ。そのアメリカで、今日に至るヒントを得た。それはある日のこと、現地の日本食レストランを訪れた際、日本では普通に使われている、言うならば日本野菜が、輸入のためにどうしても鮮度が落ちていることを垣間見たからだ。料理人も腕を振るえないだろうし、今日のようなグローバル化が進んだ世界では何とも物足りないと感じるに至った。帰国後、フレンチやイタリアンのレストランで使われている特殊野菜は、同じように主に輸入に頼っていることを知り、直ちにそれ向けの農園を手がけることになる。
開園して二年目と日は浅い中で、現在「おおむらふぁーむ」は、特殊野菜を主にして一年間で60種ものアイテムを栽培している。そして、直取引を中心にしてレストランに届けられた野菜は、口うるさい通をも唸らせている。食の喜びを教えてくれる、貴重な農園の一つであることに、間違いないであろう。