vol.13 浜防風の根茎
閖上の浜防風
かつて、日本の各地の沿岸で当たり前のように目にしていた「浜防風」が、めっきり少なくなってきています。初夏には浜に出て新芽や若葉を摘む風景は季節の風物詩ともなっていました。減少の原因は、海浜の侵食や食用・薬用として採取し尽された等が考えられています。
宮城県の沿岸部に位置する名取市。そこでは「名取ハマボウフウの会」を立ち上げ、保護育成や食材としての利用での地域おこしを目標として日々活動しています。
今回は、食材としてのこの名取市閖上の「浜防風」を御紹介致します。江戸時代より正月の雑煮のあしらいや刺身のツマとして重宝され、日本料理には欠かせない高級食材の一つとして知られてきました。刺身のツマの他に、酢の物、胡麻和え、揚げ物、おひたしなどにするのも香気も良くさっぱりした味で美味しくいただけます。また、地元の仙台藩では御殿料理の食材として取り入れられていたのも知られています。
いずれも若葉や茎の部分を食するのが一般的ですが、近年では根の部分の美味に注目が集まっています。根の部分は、薬効効果も高く健康食材としての取り上げられ方ばかりをしてきましたが、ほんのりと苦味があり滋味深い香りと味わいはとても上品で、どこか懐かしい日本を感じます。調理法としては、味噌漬けや天麩羅が広く知られていますが、ピクルスにしたり炊き込みご飯に加えたりと、和・洋・中問わず幅広いジャンルにアレンジ出来る、味、香り共に揃った万能食材です。一度、是非お試しあれ。
２０１０年４月現在の入荷状況
「浜防風の根茎」 入荷中
「閖上の浜防風」 ６月頃入荷予定
