その昔、麩は仏教と共に中国から伝来したとされています。その頃の肉食を禁じられていた修行僧にとっては、貴重なタンパク源でした。その後全国に広がった麩の食文化は、製法や形、調理法などを多様に変化させながら、その土地での郷土料理として食卓を支えてきました。
生麩、焼き麩などと麩の種類はありますが、宮城県北部から岩手県南部一帯では、麩を油でこんがり揚げた「あぶら麩」が愛されてきました。「あぶら麩」の豊かな味と風味は、料理を美味しく仕上げる「だし」効果があり、栄養に富み、低脂肪で高タンパク質、そして消化も良いとされ、現代社会でも重宝されています。
宮城県登米市にあるあぶら麩製造元の「山形屋商店」を訪ねました。お話をお伺いしたのは、工場長の「山形伸也」さんです。
「あぶら麩というのは、この地域の特産品として広く一般にも知られるようになって来ましたが、元々は旧伊達藩の食文化を支えた伝統食材だったのです。」以前は、この地域のお盆の時期に必ず食する材料として受け継がれてきたそうですが、味の良さから今では通年愛されているそうです。
平成10年から登録商標をとり、「仙台麩」として販売しているここ山形屋の麩の特徴はなんと言っても、その歯ごたえにあるでしょう。幾ら煮込んでも荷崩れしない、そのモチっとした感触は特筆ものです。また、この地域のあぶら麩の特徴である縦の切り込みも全て手作業で入れ、揚げるにいたっては180℃から200℃の油で何度も何度も転がしながら20分間ゆっくりと揚げてゆきます。この一手間も二手間も掛けることによってあの手作りの美味しさが生まれてくるのだなと、つくづく感じてしまいました。
このあぶら麩は、この地域の町おこしの一環として開発、商品化された「油麩丼」や、アイディア次第で色々な料理に応用のきく万能食材です。その他の美味しい食べ方は山形屋のホームページに詳しく掲載されていますので、そちらをご覧下さい。
「株式会社山形屋ホームページURL http://sendaifu.jp」