『強いコシ、もっちり、ツルツル』。美味しいうどんに使われる形容詞だが、どれもが当てはまるうどんが福島県にある。
コンテナを「むろ」に改良し、夫婦二人だけで切り盛りしているのだが、ここの麺は多加水にて製法され、なおも高温多湿の「むろ」で熟成することによって独自のモチモチとしたコシの強い麺が出来上がるのである。
通常、熟成は一回のところを此処ではなんと三回行っている。そして最後の仕上げに手延べをするという拘りようだ。昔はうどんといえばご馳走であり、おもてなしの料理であったとのこと。そのおもてなしの真心を大事にしたいと考えているからこそ、これだけの手間隙は惜しくないと話す。
若かりし頃のご主人は、元々和食の職人だったとのこと。ある日、うどんに魅せられることになる。その後この世界に飛び込み、以来30年この道一筋に打ち込んできた。
此処の特徴は、その麺の美味しさと共に、オリジナル麺の多彩さであろう。一例を挙げると、ピリッと感が後を引く「唐辛子麺」、野趣溢れる「牛蒡麺」、2色に分かれた色合いが美しい「2色柚子麺」等々。
また、お客の要望によって様々なオリジナル麺を製造してくれるようである。それについては、「バリエーションは無限です」と話していた。是非とも、一度は口にしてみたいうどんの発見である。