ノパルとはメキシコで広く野菜として食されているウチワサボテンのことです。降水量の少ない土地で乾燥や寒暖の温度差に負けない強い生命力をもったサボテンで、古くは、14世紀から16世紀にかけてメキシコ中央部に栄えた古代アステカの時代に、ノパルは生命を支える貴重な食物として珍重され、すでにポピュラーな存在として人々に親しまれてきました。
現在に至っても、メキシコでは豊富なミネラルと繊維質、ビタミンを含むということで、大切な栄養源の一つとしてなくてはならない存在となっております。さらに古い文献にも記されているように、健康野菜として認知され民間薬としても利用されてきたとのことです。
ノパルという名では50種類以上あり、現在食用としては主に5種類のノパルが1年を通じて栽培されています。メキシコ国内には自然に群生しているノパルが多くありますが、今回ご紹介するのは宮城県石巻の会社が、メキシコ本土にて栽培し輸入したものです。
今回、このノパルを調理して下さったのは
「ホテルメトロポリタン仙台 副総料理長 渡邉隆」さんです。
茹で上がったパスタに、フルーツトマトのピューレと帆立貝のピューレ(前記の石巻の会社で生産している)に塩・胡椒・生クリームで味を調え和えます。それに、今回ご紹介したノパルとメカブをサルサヴェルデしたものをトッピングし、最後にミモレットを振り掛けて出来上がりです。
あっさりしているのにコクがあり、米粉のモッチリ感が一層引き立っていて、トマトの柔らかい酸が口中に膨らみ、後を追っかけてホタテの旨みが押し寄せてきます。
ノパル自体は本来クセも無くあまり味の無い素材なのですが、食べ終わったあとにはキッチリと存在感が残りました。一見簡単な調理法に見えますが、何とも奥深い味わい一品です。
ノパルの料理にはまだまだなじみの無いところですが、アレンジ次第ではとても使いやすく新しい発見が必ずある素晴らしい食材の一つでしょう。是非ともチャレンジして見て下さい。